一生、思春期?外側と内側のはなし【外側編2】

前回の記事はこちら ▶︎ 一生、思春期?外側と内側のはなし【外側編1】

ありったけの<br>外面でお届け<br>Fumi
ありったけの
外面でお届け
Fumi

えっと、前回の話は覚えてる?

リトル
リトル

哀れで空っぽの魂の容れ物を大量に作り出してしまった愚かな魂の容れ物「人間様」の話やっけ?

ありったけの<br>外面でお届け<br>Fumi
ありったけの
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一体どこ行ってたんよ。

 さて前回は、外側と内側の話でした。外側を社会、内側を自己として、その間に壁を隔てた時、自分の実体としての海は、「他者によって刻一刻と創られる新たな正義」を体現し続ける。しかしその一方で、内側には「これまでの正義」が実体もなく彷徨っているという話でした。

 コツコツと培ってきた「これまでの正義」とは、自分の心の土台であり、全貌です。それが小窓の中にあります。こうして見ると、まるでドラえもんに出てくる四次元空間のよう。一見、外側とつながっているように見えます。でも、これは空想の小窓なので、実際には存在しません。存在しないので、自分でもこの小窓の核心、つまりこの人物やお茶碗には触れる事ができません。小窓の中に見える物は、自分の分身であるにも関わらず、自分でさえ、触れる事ができません。

壁上網越ゆ 1303×970mm

 では、どうやって自分の心に触れる事ができるでしょうか?それは、前回の記事でもお話しした通り、外側の世界と内側の世界をつなぐ「海」に触れることで、少しは知る事ができるかもしれません。「海」には誰もが触れる事ができる。なぜなら「海」は誰の物でもないし、誰のものでもあるからです。「海」を「自分の姿」だと仮定した時に見えてくる姿は、「自分の外面」であり、同時に、社会から見た「自分の真の姿」とも言えるからです。

ありったけの<br>外面でお届け<br>Fumi
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生命は海から生まれたんだし、言い得て妙じゃない?

外面大嫌い<br>リトルFumi
外面大嫌い
リトルFumi

うっせぇわ。調子乗んな。

ありったけの<br>外面でお届け<br>Fumi
ありったけの
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コミュニケーションって知ってる?

 さて、ここでもう一度、一緒に波打ち際に立って、海を見てみましょう。中は見えますか?私には、表面しか見えません。中で何が起こっているか、専門家なら分かるでしょうか。知識のない私にはさっぱり分かりません。もちろん、私なりの海の中のイメージは持っています。少しずつ深くなって、急に段差があって、そこで足元が掬われる。コロコロという波の音が聞こえる。空が曇っているから、海の中は薄暗い。いつもより波があるので視界は泡だらけで砂も舞い上がり、生き物の姿は見えない。・・・という風に。
 でも、実際には驚くほど光が差し込んでいて爽快かもしれない。あるいは、ゴツゴツした岩場になっていて、ウツボやゴンズイのような、怖い生物の巣窟になっているかもしれない。ぬるま湯のように温かいかもしれない。あるいは、凍えそうに冷たいかもしれない。本当の姿は、中に潜って行かなければ分かりません。分からないから、海面の様子を見て、「中はきっとこうなっているはずだ。」と、自分なりのイメージをするしかないのです。他者から見た自己は、そんな風にして創られる。また、私から見た他者も、そんな風にして創られる。海面、それは自己の姿であり、同時に、他者の姿なのです。

リトルFumi
リトルFumi

つまりは外面の応酬やな。てゆか、こんなこと考えるなんて闇深〜

ありったけの<br>外面でお届け<br>Fumi
ありったけの
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Fumi

ゴホッ、ゴホッ!

さて、前回では、実態がなくて自分でも触れることのできなかった私の心の奥を表す「小窓の内側」を見てみました。今度は、その小窓の内側から、外の世界を覗いて見ましょう。

空間崇拝 1303×970mm

●薄暗い室内には、テーブルがあり、そのテーブルの角には、お茶碗と蓋付きの小鉢が置かれています。お茶碗には何も入っていません。小鉢の中身があるのかどうかは、分かりません。部屋の奥にある窓の向こうには、テトラポットの並ぶ砂浜が見えます。ちょうど、波がひいてくところが見えます。

リトルFumi
リトルFumi

ねぇ簾が部屋の中にあるのなんで?

Fumi
Fumi

うん、もはやあるあるな話をするようなんだけどね、

インナーワールドに<br>行ってしまった<br>リトルFumi
インナーワールドに
行ってしまった
リトルFumi

あっ!ハイ分かった、外が内で内が外でってやつでしょ!

じゃぁさじゃぁさ、人間はどこから外側でどこからが内側かって考えてみた事ある?じゃぁさ、口の中は外みたいなもんやんか。そしたらどんどん私の心の眼がさ、内臓の中まで入ってって、結局内臓はどこまでも外に繋がってて、じゃぁ人間を靴下みたいに裏返してみたらすんごい形ブフッ!めっちゃ面白くない?そんで通りかかった親切な外国人が気使って言ってくれるんよ。「It’s inside ont.」って、っぷふー!haっはははー!

ドキドキ<br>ハラハラ<br>外面Fumi
ドキドキ
ハラハラ
外面Fumi

うちの子が本当にすみません。

空間崇拝 1303×970mm

二人の話はさておき、ちょっと位置関係を見てください。この部屋、塀を挟んで海の反対側に位置していますね。あれ?確か前回のお話では、海の反対側って、社会でしたよね。自己は、今どこにありますか?あれ?

●他者の側にある自分の本当の心。

 不思議なことに・・・心の奥にある小窓が、今、他者の側にあるんです。外側と内側の2枚を見比べてみましょう。なんだか混乱してしまいますね。しかも、「自分の実体」であるはずの海から、かなり離れた場所にある。実はこの、まるでバグが起きたかのような「離れた場所から自分を眺めている感覚」は、この絵画物語のために創り出した設定ではありません。幼少期から、私にあった感覚です。この感覚が自分でも不思議で、過去に絵のテーマにした事が何度かあります。この不思議な感覚が「離人症状」だと知ったのは、今回ご紹介している絵を描いてから、さらに数年経った後のことです。

リトル<br>Fumi
リトル
Fumi

いや〜あれは自分史上、最大のスッキリ案件だったね。

Fumi
Fumi

続きます!

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